オールラウンドなシングルスピードツーリングバイクとして購入したSURLY STEAMROLLER。コイツの街乗り自転車化が止まらない。ついにはリアキャリアまで取り付けてしまった。
検討当初はNITTOだPelagoだと色気づいていたけど、結局はミノウラのMT-800Nにした。見た目は普通だし、なんなら少し野暮ったい。だけど30年を超えるロングセラーで、それがとってもかっこいい。一体どれほどの旅人の荷物を運んできたのだろうかと考えてしまう。
僕は日々の生活を運ぶ道具として買ったけど、そのまま旅に出てしまうのもアリ。
導入のキッカケ
フロントラックに積める量と、実際に積みたい量が合っていなかったことがリアキャリア導入のきっかけ。
自作のフロントキャリアはアルミの丸棒を曲げて作った、いわばフックキャリアやフロントバッグサポーターと呼ばれる類のもので、快適に運べるのは2〜3kgが限界。ここにWALDのかごやら荷締めストラップやらが加わり、積める荷物はさらに限られた。
僕は業務スーパーの炭酸水にハマっていたから、7〜8kgは軽々と運びたかった。自作ラックにその重さを乗せると、少しの段差でまるで乙女心のように揺れ動き、家に帰る頃にはラックがぐにゃりと曲がっていた。運べないことはないけど、運びたくはない。
ロイヤルメールのメッセンジャーバッグを背負って重さを分散する作戦も試した。けどこれも失敗。ショルダーバッグを背負うことに慣れていないせいもあったと思うけど、体への負担が大きく、動きが制限されて自転車に乗りたくなくなってしまうほどの不快感。仮にリュックサックだとしても、ペットボトルばかり詰めていたら背負いにくくて仕方なかったはず。
あまりホイホイと物を買いたくないし、金に物を言わせて解決するのも好きじゃない。けど、さすがにどうしようもできないと悟り、キャリアの導入を決意した。
フロントキャリアかリアキャリアか
僕はこれまで圧倒的にフロント積載派だった。Fish or Beefの二択では迷うけど、Front or Rearなら迷わず大きな声で「ふろんと!」と答える。
フロント積載の何が好きって、常に荷物が視界に入っている安心感さ。荷物の脱落、ストラップの緩みなど異変にすぐに気づくことができる。
以前、カゴに引っ掛けたゴムロープが段差の衝撃でカンッと外れたことがある。それに気づかずに走り続けていたら、フックがスポークに絡まって大変なことになっていたかもしれない。フロント積載だからこそすぐに気づけた。
一方でリアキャリアは停車しないと荷物の様子を把握できない。知らぬ間にテントを落としてたら?ボルトが緩んでいて事故になったら?これが心配性の僕にはとてつもなく大きな負担。だからリア積載は使ったことがないと言っても過言ではないほど縁が無い。
まずはフロントキャリアを中心に探し始めた。ADEPTのポーターラックは安くて良さげだし、NITTOのフロントバッグサポーターも良い。Pelagoという北欧のブランドも見つけた。天板のサイズが3種類あったり、ステンレス製の頑丈なタイプもある。これがすごくかっこいい。
そして、いろいろ探して気づいたことがある。フロントキャリアって、価格の割に耐荷重が低い。
このことに気づいて我に返った。ADEPTだPelagoだと色気を出してしまったけど、荷物をたくさん積みたい自分にフロントキャリアの選択は本当に最善なのだろうか。安いけど耐荷重が10kgのADEPTで安心して大量の炭酸水を運べるのか。耐荷重15kgしかないPelagoに2万円も出す価値があるのか。
華奢なフロントキャリアに大金を出すぐらいなら、いっそ安くて頑丈なリアキャリアを使ってみてもいいんじゃないか。そう思った。
30年の歴史を誇るミノウラ MT-800Nに決めた
Pelagoに鼻の下を伸ばしていたけど、結局ミノウラのMT-800Nにした。
かっこつけだけで物を買うのはかっこ悪い。見た目のために買った物を使っていると、なんだか胸の奥がこそばゆくなる。かっこいい物は魅力的だけど、そのためだけにお金を出すのは流儀に反する。
Pelagoのフロントキャリアは良い物だと思ったし、実際に使ったことのある人も良いと言っていた。けど僕がPelagoに惹かれていたのは見た目の部分が大きい。見た目の優先順位を下げれば、他に選択肢がある。
あくまで実用を重視したうえで、安価でかっこいい物を選ぶ。それがミノウラ MT-800Nだった。
耐荷重が18kgもあるのに価格はお手頃。候補にしていたどのフロントキャリアよりも頑丈で安価だった。重いのは欠点だけど、街乗りだし、軽量化なんてどうでもよくなってきた。
発売から30年というのも最高に気に入った。かっこいい。
けど即決はできなかった。色が黒だったから。
黒色しかなくて悩む
取り付け予定のSURLY STEAMROLLERはシルバーパーツで統一していた。
そこに黒いパーツを混ぜることに躊躇があった。見た目は後回しと言いつつ、見た目も妥協したくないのが正直なところ。実用と好み、どちらか片方を妥協しても使わなくなることが多い。だから実用も好みも両取りしなきゃいけない。
MT-800Nの見た目は普通で良い。ちょっと野暮ったい気もするけど、キャリアなんかでかっこつけなくていい。むしろ普通が良い。
リアキャリアを購入後に聞いた話だけど、自転車旅行のサークルで使っている人が多かった、と言っている人がいた。きっと安くて重い寝袋やでっかい鍋なんか運んでたんだと思う。そういう汗臭さもかっこいい。MT-800Nってかっこいいんだよ。
問題は黒色を許容できるかどうか。
あれこれ迷っているとき、たかが色のために実用を犠牲にしようとしていて、胸の奥がこそばゆくなった。けど妥協できない。
頭の中でイメージを膨らませたり、下手な絵を描いてみたりした。そして黒でイケルると踏んだ。グリップにサドル、ペダルにタイヤが黒だから、キャリアが黒色でも馴染んでくれると考えた。気に入らなければ塗装を剥がそう。そしてMT-800Nを買った。
うん、なかなかいいんじゃない?
使ってみた感想
使ってみた感想をざっくりまとめると上のポスト通り。
かなりポジティブな印象を抱いている。
もちろん、天板に大きな物を積むと乗り降りしにくくなるとか、立ち漕ぎでケツが振られるとか、ネガティブな印象もある。けどある程度はわかっていたことだし、なにより良いところの方が目立つからすごく気に入っている。
最大の障壁であった色問題もなんてことはなかった。サドル等の色とうまく馴染んでくれている。むしろシルバーのリアキャリアだったらクドかったかな、なんて思うほど。
WALDのかごはやっぱり便利
リアキャリアになっても、相変わらずWALDのアメリカ製のかごを使っている。いつでもどこでも便利な奴で、つい感心してしまった。
- ポンと載せるだけでいいから、一瞬で積載が完了する
- センタースタンドが付いてるから、かごをちょっとしたテーブルとして使える
- 視界に入らないリアキャリアだけど、かごなら荷物が脱落する心配が少ない
ただ乗り降りの際に、脚を高く上げないといけないのは少しストレス。最近は慣れてきたけど、それでも乗り降りが楽に越したことはない。荷物の嵩がかごの高さを超えると嫌になってくることがわかった。だから荷物はできるだけ嵩を低く抑えるように意識している。
かごと触れてガチャガチャと音が鳴らないように、天板にロープを巻いてある。
天板を空けるためにパニアバッグを自作
リアキャリアの天板の荷物の嵩を抑えるために、パニアバッグを導入した。両サイドに荷物を積めば乗り降りに影響しないし、重心が低くなって走りに安定感が出ると思った。
好みに合うパニアバッグはいい値段がすると思ったから、最初から自作、もしくは改造で済ますつもりでいた。
実際にパニアバッグを使ってみるとこれが便利な奴で、WALDのかご同様に癖になりそうだった。自転車につけっぱなしだから、いちいちストラップで縛り付ける必要はないし、荷物が脱落する心配も少ない。
パニアバッグがホイールに巻き込まないように、リアキャリア下部の穴とロープを使って柱を追加してある。
ROK strapで荷物を安全に固定する
フロントにかごを取り付けているとき、段差でゴムロープのフックが外れたことがある。ゴムの張りが甘かったのが原因だけど、また同じことをやらかす気もする。フロントならまだしも、視界に入らないリアキャリアで使うのはちょっと心配。
だからMT-800Nに移行して以降、荷締めストラップはオーストラリア発のROK strapsを使っている。構造上、ストラップそのものが破損しない限り外れることはない。米軍採用実績もあり、信頼のおけるやつだ。
ネットのようにガバっと蓋をすることはできないから、小さい物をむき出しで積むには向いていない。小物をバッグでひとまとめにするといい。僕はロイヤルメールのメッセンジャーバッグだったり、紙和のクラッチバッグだったり、フランス軍のランドリーバッグだったり、模索しながら使い分けている。小物はパニアバッグに詰めればいいから、かごはスッカラカンの時もある。
まとめ
- 安くて頑丈でかっこいいミノウラのリアキャリアMT-800N
- 重さは感じる
- 荷物が視界に入らないけど不安は少なめ
- WALDのかごとROK strapsが便利
- 天板に積みすぎると乗り降りしにくいからパニアバッグで分散
リアキャリアの魅力にすっかり取り憑かれてしまった。実用面はもちろんだけど、かっこよすぎる。
軽トラみたいな働く車が好きだ。スーパーカブみたいな働くオートバイが好きだ。いずれも車体の後方にたくさんの荷物を載せることができる。
リアキャリアが取り付けられた自転車は実用車として、働く自転車としてのオーラを纏う。それも飾りやカッコつけではなく、日々の生活の道具として使えば使うほど説得力が生まれる。
これからたくさん積んでやる。
次の記事へ>>>WALD 137 アメリカ製の自転車かご
コメント
ADEPTのポーターラックは良い物ですが、WALD137にピッタリ設計ではないのでWALD使用時にラックの前後に余白ができるのがちょっと気になります!(その空間にアルミのミニテーブルなど入れられたりもしますが)
あと耐久性はちょっと怪しいかも?前に荷物を載せてガシガシ走ってたらブレーキ台座と止める部分のステーが変形しましたし…(自転車を前から見るとラックだけ左右にズレてる感じ)
アルミだから力で曲げを直せましたが荷物といってもサバ缶3缶だったので耐過重10kgとは?となりました(笑)
ミノウラのリアラックは自分もSteamrollerの前に乗ってたクロスバイクに付けてましたが、こっちは軽いのに全然不具合起こりませんでしたね~。
なので、良いラックのチョイスだったと思います!
くじらサイクルさんのスチローは文字どおり”Steamroller”のように働く車って感じのビルドになってきて格好いいですね!
こんだけ積載できるとなるとキャンプなんかも行くのか!?と一人期待しております。
ほうほう。WALDのかごは必須装備なので、余白は僕も気になったかも。ミノウラの場合、前後はほぼぴったりで、両サイドはWALDが数センチずつはみ出すぐらいなので、見た目も剛性感もいい感じです!
サバ缶×3で変形するのは、ちといただけないですね(笑)ガシガシ走るなら耐荷重はかなり余裕を持たせないといけないんですかねー。だとしてもサバ缶×3で変形は…(笑)
ADEPTは有力候補だったんですけど、僕の用途ならミノウラで正解だったっぽいですな。
こんなところにもミノウラのキャリアユーザーが!ググってもそんなに情報はヒットしなかったんで、ミノウラ使ってる人少ないのかなーなんて思ってましたが、身近過ぎて記事にするほどでもないって感じなんですかね。それにしても、実際に使ってた人から太鼓判を押してもらえると、すごい安心できます(笑)ガシガシ使い込んでやります!
ほんとだ!Steamrollerって働く車だ!全く気づいてませんでした(笑)ゆた。さんのスチロー素敵だし、編み物も素敵だし、やってることが超かっこいいっす!
ちょうどキャンプ道具を売っ払ってしまったところで…リアキャリアを取り付けた今こそキャンプでしたね(笑)アウトドアコーヒーぐらいからまたやってみようかな。