これまでの人生でパンクはたった2回しかしたことがないから、重くかさばる工具を持ち運ぶ必要性がそんなにない。できるならそんなもの持ち運びたくはない。とはいえ、いざトラブルが起きたときのことを考えると手ぶらは怖い。
だから必要最低限の工具を携帯している。使用頻度が少ないから、とにかく軽量コンパクト重視だ。そのうえでパンクやボルトの緩みなど、比較的起こる可能性が高いトラブルには対処できるようにしている。
軽量コンパクトな工具を重視する理由
いつでも工具を持ち歩くため。これに尽きる。
工具を持つか迷うときがある。
100km走るなら工具は確実に持つ。しかし60kmだとどうだろう?30kmなら?僕ならかなり迷う。そして迷った挙げ句、持たないという選択をすることがザラにある。どれだけ充実した携帯工具、パンク修理キットを揃えていようが、現地に持っていかなければ糞の役にも立たない。
しかもなまじトラブルが起きないもんだから、迷ったときに「持たない」選択をしがち。これが重くかさばる工具ならなおさらだ。
「赤を身につければなぜモテるのか」という恥ずかしいタイトルの本によると、「重いものを持つとめんどくさく感じる」という研究があるらしい。1つや2つ研究があるからと言ってそれが正しいとは限らないけど、僕には思い当たる節がある。
重い工具はめんどくさくて持たない。必要なときに工具を持っていなければ意味がない。
そう思い工具を軽量コンパクトな物に見直した。加えて、そもそも持ち運ぶかどうか悩まなくて済むようにフレームバッグを導入し、自転車に積みっぱなしにしておくようにした。
これが功を奏し、人生初のパンクを経験したときに工具を持ち歩いており、しっかりパンク修理を行うことができた。
人生初パンクのサイクリングはよく使うルートで片道15kmほどの距離だった。自転車では割と気楽に行けるが、徒歩ではダルい距離だ。馴染みのルートということもあり、油断しまくりだ。
以前の重くかさばる工具では絶対に持ち運んでいなかった。ちょうど折り返し地点でパンクをしたため、電波が届かないど田舎で途方に暮れるところだった。携帯性重視の工具に見直してよかった。
いつも持ち歩く工具の中身
工具としての使い勝手を犠牲にしてでも、軽量コンパクトな物を重視している。5kmでも100kmでも基本的に装備は変わらない。
使用している自転車、サイクリングスタイルは以下のとおり。
- シングルスピード(SURLYスチームローラー)
- タイヤは700×28c(低圧が好み)
- 基本は街乗りや半径15kmが行動範囲
- たまに遠出(100km未満)
- 林道サイクリングなどトラブルが起きやすいフィールドを好んで走る(月に1〜2回)
- スポーティーな走りはしない
- 輪行にも対応する
- パンクはチューブ交換で対応
予備チューブ:TPUチューブ×2
馴染みのある黒いプチルチューブと比べて、TPUチューブの軽さとコンパクトさは突出している。タイヤに装着しているときだけでなく、予備として持ち歩くときも効果は絶大だ。
わずか30g、ポケットティッシュより小さなチューブのため、何本持ち歩いてもたかが知れている。
TPUチューブに不安を持つ人もいるはずだけど、少なくとも予備には最適だと思う。軽い、小さい、中華なら安い。MageneのEXAR TPUチューブなら日本語サイトがしっかりしていて、比較的安心できると思う。リムブレーキにも対応している。
人生初パンクを経験して以降、チューブ交換に失敗したときに備えて予備チューブは2本に増やした。この1本を失敗したら終わり、という状況はさすがにヒリヒリした。
TPUチューブだからといって、チューブ交換に特別な技術は必要ない。タイヤ内の異物や噛み込みをよく確かめるなど、丁寧に作業するだけでいい。
パンクして役目を終えたTPUチューブだ。ぐちゃぐちゃにしまい込んでいたら、あちこちにシワが付いている。耐久性に影響があるかもしれないから、持ち運ぶ際は丁寧に畳んだほうがいい。
パッチ:パークツール GP-2
基本、パンクはチューブ交換で対応する。
外でパンク修理してみて思った。雨降る林道で穴を見つけてヤスリを掛けて…なんてやってられない。だからパッチを使うことはないと思う。実際、使ったことがない。
だけど数年前に買ったものをすでに所有している。とても軽くて小さい。邪魔になるものでも負担になるものでもないから、お守りにはちょうどいい。
TPUが使えるものであることが条件だ。パークツール GP-2はTPUチューブに使えるとかなんとか。試したことはない。
携帯ポンプ:airbone supernova zt-702s
airbone supernovaはうまい棒より小さな空気入れだ。
空気を入れるという目的に対して使い勝手はよくない。いや、悪い。ポンピングが大量に必要なくせに持ちにくい。
だけど、圧倒的に軽くコンパクトだ。
以前はトピークのミニモーフを使っていた。が、外で一度も使わなかった。室内で試しに650×47のタイヤをベコベコからパンパンまで空気を入れてみたぐらいだ。かなり使いやすかった記憶がある。
特筆するほど大きな携帯ポンプではないけど、僕には邪魔で仕方なかった。付属のアダプターで車体に取り付けたとて邪魔だ。予備チューブだけ持ってミニモーフは持たないという意味不明なムーブをかましたことが何度もある。パンクを経験したことがない(当時)人間にとってはサイズが大きすぎた。
airboneは予備チューブやタイヤレバー、その他の工具とまとめて収納しておける。ミニモーフでは無理な芸当だ。ひとまとめにできると管理が楽だし、空気入れだけ忘れるということもない。空気入れとしてはお世辞にも良いとは言えないけど、携帯空気入れとしてはとても気に入っている。かっこいいし。
カンカンの高圧にするには腕がパンパンになるだろうけど、走行可能にするだけならポンピング回数が多いだけで割と苦労せず使えた。人生初のパンク時、airboneで空気を入れたあと15km走れた。その1週間後、空気を追加せずさらに15km走れた。(その後、林道に行ってリム打ちパンクした)。
いざairboneで空気を入れるとミニモーフが恋しくて仕方ないけど、家に帰ってミニモーフの大きさを見ると萎えてしまう。滅多にパンクしない僕からすると、airboneで十分だしベストなんだと思う。
別売りのホースを使えば少し便利になる。
タイヤレバー:シュワルベ×2
趣味として自転車に乗り始めたとき、シュワルベのタイヤレバーが便利と聞いて買った。以降、携帯工具セットでは皆勤賞。家でメンテナンスするときも使っている。
思い入れも語れることないのだけど、初めてタイヤ交換したときも、初めてパンク修理したときも特に不満を感じなかった。
タイヤレバーをスポークに引っ掛けることができるのが特徴だ。このおかげで作業性が良い。またパンク修理したとき雑草に紛れて置き忘れたまま帰りそうになったけど、目立つ青色が視界の端に入ったおかげで忘れることなく持ち帰ることができた。
3本セットで売っている。僕は2本だけ持ち歩いている。
パナレーサーのパセラLXは硬くてタイヤ交換しにくい(グラベルキング比)。だけど2本で対応できている。
六角レンチ:トピーク ミニ6L
何でもかんでも揃ったゴージャスな携帯工具ではない。そこが気に入っている。ハードなサイクリングはしないし、トラブルが少ないからトピーク ミニ6Lで十分事足りる。ミニ6Lで足りない機能があれば、バラで追加すればいい。
使わない多機能は贅肉だ。重量と体積が大きくなるだけでいいことがない。
現在乗っているSURLYスチームローラーはシングルスピードだからパーツが少ない。そのためミニマムなミニ6Lでも使わない機能がある。だけどオーバースペックだとかゴチャゴチャしているとは感じない。そもそもの機能が少ないからだろうか。
六角レンチをバラで持つことも考えたけど、収納ケース内が散らかるため、ひとまとめになったミニ6Lを採用している。見直す余地はあるけど、見直すのがめんどくさい。困っていないからこのままでいい。
スパナ:TONE 15mm
ホイールの固定がナット式のシングルスピードバイクに乗っているから、輪行やパンク修理でホイールの脱着をするときにスパナは絶対に必要だ。安全十分なトルクを掛けられる前提で、できるだけ軽くコンパクトなものを探してTONEを見つけた。
薄く短いため強いトルクを掛けにくいけれど、フリーギアの自転車なら問題なかった。何度も林道を走っている。家でも輪行でもパンク修理でも使っていて、ホイールがズレたことはない。
一方で固定ギアの自転車には使いづらいと思う。薄く短いため、必要なトルクを掛けられない可能性があるからだ。固定ギアのハブナットに使ったところ、走行中にホイールがズレてしまったことがある(チェーン引きは不使用)。
このスパナはペダルのナットにも適合するサイズだ。だけど同様の理由でペダルを外すだけのトルクは掛けられない。緩んでぐらついたペダルを増し締めする程度の使い方なら可能だ。
手袋:指サック×2
手を汚さないために指サック(親指用と人差し指用)を持っている。主に輪行でリアホイールの着脱で使用する。
使い捨て手袋なら携帯しやすく手の保護範囲も広いけど、強度や着脱しやすさの関係で再利用しにくいのが悩みのタネだった。使っては捨てるという消耗品が好きではないからだ。そこで指サックに目をつけた。繰り返し使える強度、着脱のしやすさ、軽さ、小ささとなかなか使える。
手全体を保護したいような修理やメンテナンスは出先ではしないため手袋は不要と判断した。どうせチェーンをつまむぐらいにしか使わない。なら指サックで十分。
その他:結束バンドとダクトテープ
重くかさばるものではないから、結束バンド数本と小分けにしたダクトテープを持っている。一度も使ったことはない。けれど専用工具と違い、汎用性が高いからキットの一員として迎えている。自転車を足にしたキャンプやハイキングでいつか出番があると思う。
もちろん、そんな出番はない方がいい。
結束バンドは繰り返し使えるタイプだ。
収納ケース:ダイソー
ポーチにすべての携帯工具、パンク修理キットをまとめている。分散させると管理がめんどうだ。
透明のため外から中身を確認できる。生地は水を通さない。細々とした自転車用品の整理に向いていると思う。
ジップロックにまとめていたこともあるけど、どうしても耐久性の低さが気になる。持ち運んでいるだけなのにいつの間にか小穴が空いている。また内容量と袋の大きさが合わず、中で工具が暴れやすいのが欠点だった。
特にこだわりがあって使っているわけでも気に入っているわけでもないから、いい入れ物があれば乗り換えたい。
チェーンカッターは不要
チューブや空気入れは軽量コンパクトなものに入れ替えた。ただ、ひとつひとつをどれだけ軽いものに交換しようと、「持っていくのをやめる」こと以上に軽く小さくする方法はない。
そして、チェーンカッターをやめた。
なぜなら、いまの僕の乗り方でチェーンが切れることはないと思うから。
- ギア比が軽く、強いトルクで踏むことがない
- 生粋のシングルスピードバイクでチェーンラインがまっすぐ。横向きに変な力がかかることがない
- シングルスピードだからディレイラー破損に備える必要がない
つまり、チェーンに強い負荷がかかる乗り方をしていないから、切れることはないだろうと。またディレイラーが壊れるとチェーンを詰めて一時的にシングルスピード化して乗り切る方法があるけど、僕のスチームローラーは根っからのシングルスピードだから、そんな事態に備える必要がない。
積載場所/持ち運び方
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かつてはウエストバッグに入れていたけど、いまはJanddのフレームバッグを使っている。
フレームバッグはスマホなどの出し入れ機会が多い小物の収納を兼ねている。だから、ずっと付けっぱなし。工具も入れっぱなし。ライド前に準備する必要がなくて楽ちんだ。忘れ物もしない。手ぶらで出かけられる。最高に気持ちいい。
そして僕はめんどくさいことが大嫌いだ。だから工具はすぐ取り出せるところに仕舞いたい。
たとえば、ボトルケージのぐらつきを発見したときに、工具がデイパックの奥底にあったのなら、対応を躊躇する可能性がある。危険なことに、手で締めてなんとか乗り切ろうとするかもしれない。
だけどポケットからスマホを取り出すように工具を取り出せたのなら、手締めで乗り切ろうなどと愚かな選択はしないはずだ。輪行するにはスパナが必要だから、やはり取り出しやすいところにあるに越したことはない。
だから使用機会は少なくとも、すぐ使えるところに収納しておきたい。
前三角に重量物を配置できるから、車体のバランスもいいと思う。
自転車を複数台持ちだとキットの中身や収納位置が変動して、管理がめんどくさそうだ。僕はスチームローラー1台しか持っていないから、いつも同じ工具をいつも同じ場所に収めておけばいい。ラクチンだ。
まとめ
- 工具、パンク修理キットは作業性より携帯性重視
- 肝心なときに工具を持ち運んでいないと意味がないから
- 持ち運び方法はフレームバッグで、常に車載しておく
プチルチューブをTPUチューブに変えるだけで、劇的な軽量コンパクト化ができる。プチルチューブを1つ持つぐらいなら、TPUチューブを2本持ったほうがリスクは低いと思う。
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